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「白銀の使い魔」真先ゆみ (ill.端縁子)

あらすじ
 白銀の髪を持つフランは、幼い頃に契約した主に仕えるため、使い魔養成学校に通っていた。だがフランには、淫魔とのハーフであるというコンプレックスがあった。淫魔は、奔放な気質のせいで使い魔には不向きと言われていたからだ。そんなある日、同室のジェットへの想いがもとで、フランは淫魔として覚醒しはじめてしまう。変化していく身体を持てあますフランは、ジェットに「ただの体調管理だと思え」と、淫魔の本能を満たすための行為をされるが...。

本文より抜粋

「おまえ、覚醒し始めてやしないか?」
「......えっ?」
 なにを言われたのかとっさに理解できなくて、じっとジェットの顔を見上げる。
「......どういうこと?」
「このところの食欲不振と体調不良だ。原因は淫魔の血が目覚めたせいじゃないのか?」
「覚醒......?」
 目で見てわかるほどにフランの身体が震える。
 なかなか治る兆しのない体調不良は、なにかがおかしいという自覚はあった。でもまさか淫魔の血が原因だとは思ってもみなかった。
「オレ......淫魔になってしまうの......?」
 あんなに否定してきたものが、この身体の中でうごめき、自己主張を始めている。
 ここにいると。目をそらして見ないようにしていても、おまえの中に淫魔は確実にいるのだと。
「どうしよう......っ」
 高位の悪魔の傍近くに仕え、重用されることをなによりの誇りとする一族のなかで、ハーフでも胸をはっていられたのは、ひとえに自分に淫魔らしい性質がなかったからだ。
 容姿こそ父親譲りだが、魔力の本質は母親から受け継いだ使い魔のそれだったからだ。
 それがいまになって変化するなんて......。
「ジェット、オレは......どうすればいい?」
 すがれるのは目の前にいるジェットしかいなくて、フランは指に触れたシャツの袖を、ぎゅっとつかんだ。
 それにジェットの手が重なる。
「おまえはハーフだから、完全に淫魔化することはない。いまは覚醒したばかりの血に引きずられているが、しばらくすれば両方の資質を兼ね備えた姿で安定するだろう」
「でもっ!」
「大丈夫だ。微熱も食欲も、欲求が満たされたら元に戻る」
 ジェットはそう言うと、フランの額に優しくキスをしてくれた。動きにつられてベッドがぎしりと音を立てる。
「ジェット......?」
 接近してくるジェットに、なんだかどぎまぎしていると、ネクタイをほどかれ、ベストとシャツのボタンもはずされる。
「あの...っ」
「ただの体調管理だと思え」
 今度は頬にキスされて、只事ではない成り行きにフランは慌てた。
「思えって、そんな......」