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「オオカミを食らう赤ずきん」バーバラ片桐(ill.周防佑未)

あらすじ
 大学で、抱かれたい男ナンバーワンにも選ばれたほどの真壁は、モテモテの大学生活を送っていた。そんな真壁の元に、「僕っていう婚約者がいるのに、女と浮気してたの?」と海外に行ってしまった幼馴染みの工藤が、突然現れる。天使のように可愛らしかった工藤は、今では超美形の色男に様変わりしており、さらには真壁を抱きたいと言い出して――!?

本文より抜粋

 友博がぐっすりと眠っているのをいいことに、真壁は近くにあった椅子をまたぎ、背もたれを両手で抱えて頬を乗せ、じっくりとその寝顔を観察した。
――俺の天使。
そんなふうに思っていた。
幼いころの友博と昼寝したときのことが、思い出される。
――すっげー、ドキドキしたよな。なかなか眠れなくて。
男同士の忌憚のない付き合いというより、友博との付き合いはそれより色っぽいときめきが混じっていたように思える。
ふと目覚めたとき、睫の長い友博の顔がすぐそばにあって息を呑んだものだ。
寝てたらキスしても気づかないだろうか、なんて幼い頭で考えた。あれがおそらく、自分の性の目覚めだった。
可愛くて、白くて、ほっそりとした身体に触れるたびにドキドキした。
友博が女の子だったら、おそらく別れのときにキスぐらいしていたことだろう。
――それをしなかったってことは、俺は一応友博が男の子だって、意識してたのかな?
そのあたりはよく覚えていない。
そんな友博と再会して、男だというのにモーションをかけられて困惑している。男だというだけで論外のはずなのに、友博にしゃぶられたときのことを思うと、ぞくりと身体の芯から熱くなってくるから困る。
――俺、友博とやれんの?
 しゃぶられれば勃起することは証明された。だけど、それ以上に進むことは可能なのだろうか。
ずっと顔に注いでいた視線を下げて、真壁は友博の身体のラインを目でなぞった。まだ九月だということもあって布団も腹のあたりにしかかかっておらず、のびやかな肢体が目についた。
――勃起はしない。......けど、できなくもない......か? キスぐらいなら......?
酔いのせいもあって、真壁はもやもやと頭の中で思い描く。
友博の顔立ちは好きだ。昔とさして変わらない官能的な唇を見ると、今でもムラムラする。友博があえぐ顔は、さぞかし色っぽいことだろう。
だが、この身体を押し倒して挿入するんだと思った途端に、頭の中で回路が途切れる。しゃぶられれば勃つだろうが、それを突っこむことまでできるのだろうか。
――無理......かも。
くらくらしながら立ち上がると、きしっと椅子が鳴った。
その音に目覚めたのか、友博が身じろぎする。眠そうにこちらを見て、真壁に気づいた途端、幸せそうに微笑んだ。その表情にドキリとして、真壁は動けなくなる。
「びっくりした。......慶太のこと、夢に見てたのに、目が覚めてもそこにいるから」
「どうせ、ろくでもない夢だったんだろ」
「ん。......慶太が僕の作ったご飯、すっごくおいしそうに食べてくれた夢」
闇に溶けこむようなかすれた声で、夢見るように話される。友博にとっては、自分に料理を作ったり、世話を焼いたりするのは、幸せなことなのだろうか。そんな友博にどう返していいのかわからなくなって、真壁は話題を変えた。