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「濡れ男」中原一也(ill:梨とりこ)

あらすじ
 大学時代からの友人で、魔性の魅力を持つ男・楢崎に惑わされる、准教授の岸尾。大学生のころから楢崎に惚れていた岸尾は、楢崎が放つエロスに負け、とうとう一線を超えてしまった。しかし、楢崎の態度はその後も一向に変わらず、さらには他の男に抱かれたような様子まで岸尾に見せてくる。そんな彼に対し、岸尾はついに決別を言い渡すが…。
 無自覚ビッチに惚れてしまった岸尾の運命やいかに――!?

本文より抜粋

「お前、いやらしい躰してるな。本当に教授とは何もなかったのか?」
「ぁ……、当たり前、や……、信用、してないんか……?」
「冗談だよ。ちょっと待ってろ」
 クス、と笑うと、岸尾はいったん布団の中から抜け出し、薬箱の中から軟膏を取ってきた。そして衣服を全部脱いで全裸になり、再び布団の中に潜り込む。
「今まで、こういうの使ったことなかったな。痛かっただろ?」
 膝を肩に担ぎ、軟膏を塗った指で後ろを探った。唾液なんかより滑りは各段によく、蕾やその周りの肌の上に指を滑らせただけでもやたら卑猥な感じがした。
「……ぁあ……っ!」
 わざと焦らすようにそこを揉みほぐし、じわじわと指を埋め込んでいった。戸惑いに濡れた声は甘く、それを聞いているだけでも我を失いそうになる。
「──はぁ……っ、あっ、……はぁ……っ」
 根本まで埋め込むまで、少しの反応も逃すまいと楢崎の表情を見ていた。目許を染め、甘い吐息を漏らしながら快楽に溺れまいとする楢崎は、どんな女よりもそそられた。普段からあまりペースを乱さない男だけに、自分の愛撫がこうも楢崎を翻弄するのかと思うと、自分が楢崎にとって特別な相手だと言われているような気がするのだ。
「こんなに優しくしたのは、初めてだな」
「ぅ……っく、……んぁ、あ、あっ」
 思えば、最初は怒りに任せて犯した。せっかくまっさらだった躰をあんなふうに抱いてしまったなんて、自分は相当馬鹿だと激しく後悔する。
「もっと優しくしてやる。おかしくなってしまうくらいにな」
 テクニックに特別自信があるわけではなかったが、丹念に愛撫を重ねて狂わせてやろうと思った。涙で潤んだ瞳で見つめられ、心臓が小さく跳ねる。
「……好きや」
「これがか?」
 照れ隠しに言い、根本まで埋め込んだ指を楢崎の中で動かしてみせた。
「あほう、ちが……」
「わざと言ったんだよ」
「お前、……いけずやな……」
「自分の性格が悪いことは知ってるよ」
 本当は好きだと言われて、舞い上がるような気持ちだった。しかしリードしていたいという男の見栄から、ついこんな態度を取ってしまう。
「俺も好きだぞ」
「あかんて……、手加減……っ」
 戸惑う楢崎の姿を見て岸尾も次第に余裕がなくなり、耳朶に噛みつくようにして囁いた。
「もう、挿れて、いいか?」
「ぁ……っ」
 答えを聞く前にあてがい、腰を進めていった。そして容赦なく貫き、深々と根本まで収める。
「んぁ、あ、──ぁぁああ……っ!」
 掠れた声に、自分がとてつもなく悪いことをしているような気になった。楢崎も大人の男だというのに、まるで無垢な存在を穢すような気持ちになり、ますます男を刺激されるのだ。無意識だろうが、楢崎はまさに男を喰い慣れたかのような締まりで岸尾を放さない。
「こんなにいやらしい躰してるのに、教授に喰われてなかったなんて、信じられない」
「お前……変な、ビデオ……見過ぎと……違うんか……?」
 芝居じみた台詞に呆れているようだが、楢崎が昂りを覚えているのも事実だった。言葉にされずとも、繋がった部分がきつく収縮して、本音を吐露している。
「好きだぞ」
「んぁっ!」
 ずるりと引きずり出し、再び奥まで収めた。あるポイントに先端が当たると、信じられないくらいイイ声で啼く。
 それが可愛くて、わざと探るように中を掻き回した。
「あ、あっ、──ぁあっ!」