ちょこよみリンクス

「魔獣に魅入られた妖精」水島忍(ill.日野ガラス)

あらすじ
 天涯孤独の千浦は、人間以外の動物や植物と会話するテレパシー能力を持つがゆえに、研究施設に監禁されていた。植物たちと静かに過ごしながら、ここから出られる日を夢見ていたある日、施設を訪れた伏見と出会う。本来は人間に通じないはずのテレパシーが、伏見に伝わり、千浦は驚きながらも彼に助けを求める。伏見の助力のおかげで、無事施設から助け出された千浦だったが、彼に匿われ一緒に暮らすうち、彼の優しさに触れ、惹かれてゆくが...。

本文より抜粋

「キスが好きなのか?」
「判りません......。こんなこと、初めてだし」
「そうだろうな。ずっと閉じ込められていた君には刺激が強すぎたか」
 千浦はいきなり股間に触れられて、飛び上がりそうになった。
「なっ......なんですかっ?」
「硬くなっている。戯れのキスひとつでこんなに感じるとは敏感にも程がある。監禁されていたとはいえ、自分で慰めたことはあるんだろう?」
「え......?」
 眉をひそめた千浦の顔を見て、伏見は驚いたように目を開いた。
「まさか......! いや、君は思春期の間、ずっと監禁されていたんだ。普通なら身についてしかるべき知識を知らなくても無理はない。あいつらが君に教えたとは思えないし」
「しかるべき知識って、どういうことですか? それは、キスしたら、こうなるってことですか? こんなに......気持ちがざわめいて、落ち着かなくて、身体中が変な高揚感に包まれていて......」
 伏見は苦笑した。彼が千浦の前でそんな笑い方をしたのは初めてだった。
「それだけの語彙や表現力があって、性的知識がないとは変な話だが、君は偏った成長をしたんだな。普通の人間にはない能力を持っている代わりに、どこか未発達な部分があったんだろう」
 伏見は一人で納得しているが、千浦にはさっぱり判らない。今の自分の状態をなんとかする方法はあるのだろうか。身体が熱くてたまらず、千浦は本能のままに伏見に下半身を擦りつけた。
「そんなに苦しいか?」
 千浦は頷いた。
「これは治せるんですか?」
「ああ、治せる。こちらに来なさい」
 伏見に抱えられるようにしてベッドまで歩いている。伏見はベッドカバーを外して、千浦をそこに寝かせた。
「身体が......熱い」
「じゃあ、脱ぐといい」
 伏見は千浦のシャツのボタンを外し始めた。
「脱がなきゃいけないんですか?」
「医者には身体を見せるだろう? それと同じことだ」
 つまり、これは治療ということだ。けれども、こうして伏見からボタンを外されていると、妙な気持ちになってくる。
「子供じゃないんだから、自分で脱ぎます」
「いいんだ。君はじっとしていればいい」
 伏見は千浦のシャツを脱がせてしまった。そうして、ズボンと下着も同じように足から引き抜いていく。ベッドの上で裸になることなんてなかったし、風呂場でもないのに人前で裸になったのも初めてだった。おまけに、伏見はじろじろと千浦の全身を見つめている。千浦は改めて自分の股間がいつもの形ではないことを恥ずかしく思った。思わず隠そうと手を伸ばしたが、伏見に軽く払いのけられてしまった。
 伏見は壊れ物でも扱うように、千浦の股間のものにそっと触れた。触れられた瞬間、千浦は衝撃を感じて、ビクンと大きく身体を揺らした。
「ここがこうやって勃つことは、よくあるだろう? そんなとき、自分で触ったりしないのか?」
「だって、朝だけだから......」
「朝だけか。君は聖人より聖人らしいな。やはり人間というより妖精なのかもしれない」
 伏見は硬くなっているものを柔らかく握った。
「あ......っ」
「気持ちいいだろう?」
 伏見の質問に千浦は頷いた。できることなら、ずっと触ってもらいたいくらいだ。
「これは教育だよ。君が今まで受けてこなかった性教育だ」