
「…やはり…海子は淫乱だというのは本当か」
「……」
耳元で囁かれた言葉に、冷水を浴びせられたように感じ、八潮は身体の揺れを止める。何も言えず、顔を強張らせた八潮の額に、渡海は唇を押し当てた。何かを誓ってでもいるかのように、しばらくの間口付けた後、昏い目で八潮の…濡れた漆黒の瞳を覗き込み、笑みのない顔で告げる。
「満足させてやると言っただろう?」
感情のない声で言い、渡海は八潮の中へ含ませていた指を引き抜く。そのまま細い身体を俯せにさせ、腰を高く抱え上げた。
「っ…や…」
抗うつもりはなかったが、心の用意をする余裕もなくて、八潮は困惑した。しかし、すぐに柔らかくなった入り口に硬いものを感じて、息を呑む。渡海のそれだと認識すると同時に、圧し開かれていた。
「…っ…ん…っ…」
背後から身体を開かれるのは初めてではなかったが、渡海自身の大きさと硬さに圧倒され、息が出来なくなる。身体を強張らせ、ぎゅっと孔を萎縮させる八潮に、渡海は冷静な声で命じた。
「締めるな。奥まで入れない」
「っ……」
「…望んでいたんだろう?」
続けて向けられた問いかけは、ぞくりとするような声色だった。初めて、渡海の欲望に触れた気がして、八潮は身体の芯が疼くように感じる。同時に緊張が解け、渡海が奥まで入り込んで来た。
清栄と繋がった時よりも、内臓を押されるような圧迫感がひどく、入り口もぎりぎりまで開かれているみたいに思えた。それでも…いや、そういう強い存在感を八潮の身体は望んでおり、じんじんと全身が痺れる。
渡海は最奥まで自分を収め、八潮の背中に覆い被さるようにして抱き締めた。体勢が変わり、渡海のものが触れられたことのない場所に届く。先端がそこを突いた途端、それまで味わった覚えのない強烈な快感が八潮の身体を駆け抜けた。
「あ…ああっ…!」
抑え切れない声が叫びのように零れ、八潮は再び膨れ上がっていた欲望を破裂させる。自分でも全く想像しなかった反応だった。
「あ…っ…あ……や…っ…」
渡海は達した八潮自身を後ろから手を回して握り、最奥を突きながら、きつく扱く。それは途轍もない快楽で、八潮は我を忘れて声を上げ続けた。
「っ…あっ…あっ…んっ……あっ」
身体を密着させたまま、腰を動かして来る渡海に、こんなにも烈しい快感は許容しきれないと伝えたくても、言葉にならない。口から零れるのはすべて叫び声にも近い嬌声で、八潮はどうすることも出来なかった。

「あっ…んっ……ああっ…」
次第に頭が真っ白になり、自分が何をされているかも、何をしているかも分からなくなる。望んでいたのは事実だ。中を弄られ、熱くなりきった身体で、繋がることを欲していた。しかし、自分が分からなくなるような快楽までは…本当に望んでいたのかどうか、分からない。
けれど、身体が悦んでいるのは確かだった。八潮は何もかもがバラバラになってしまいそうな錯覚に揺れながらも、渡海から与えられる快楽を全て飲み込んだ。